立方骨圧迫骨折=「くるみ割り骨折」

立方骨圧迫骨折=「くるみ割り骨折」

 立方骨は足の甲の真ん中からやや外側に位置しており,前は小指と薬指の根元の中足骨,後はかかとの骨=踵骨と連結して関節を形成しています。

 強い外返し捻挫により立方骨は,踵骨と第4,5中足骨でクルミのように挟まれ,踵骨・立方骨関節面の軟骨下骨が潰されて骨折するのです。そのため「くるみ割り骨折」とも呼ばれています。
立方骨は足のアーチの要となる骨で,体重が乗ったときに,他の骨とともに衝撃を吸収する役割を果たしています。立方骨にゆがみが生じると足全体の構造が崩れ,扁平足をきたします。

 交通事故では,自転車やバイクVS自動車の出合い頭衝突で起こり得ます。
最近では駅構内の階段を1段踏み外し,左足を外側に捻挫,くるみ割り骨折となったケースがあります。捻挫の瞬間,ボキボキって音が足から聞こえ,手摺にしがみつき,なんとか転倒は免れましたが,直後は激痛で,一歩も歩き出すことができなかったとのことです。
人身傷害保険の対応は,骨折部の疼痛で12級13号が認められました。

レントゲンでは,踵・立方骨関節面に沿って骨折線が認められます。

 初期のレントゲンで発見できないときでも,骨萎縮が始まる3週間前後のXPで確認することができます。

 2013年9月,西武ライオンズに所属していた炭谷銀仁朗捕手は,本塁上で走者と交錯した際に左足の外側を痛め,左足立方骨亀裂骨折と診断されました。しかし,彼は1流のアスリートであり,優勝のかかった終盤戦で離脱することは困難な事情もあり,その後も捕手として休むことなく活躍しました。

 サッカー選手やマラソンランナーでは,立方骨の疲労骨折が複数例報告されています。
疲労骨折であれば,交通事故外傷として後遺障害の対象にはなりません。

 主として外返し捻挫を解説してきましたが,内返し捻挫の受傷機転では,二分靭帯による立方骨剥離骨折を発症することがあります。

立方骨圧迫骨折=くるみ割り骨折における後遺障害

 立方骨圧迫骨折は,大きな捻挫として見過ごされ,放置されることが多いです。
交通事故の後遺障害の専門家の経験則でも,初診段階で立方骨骨折と診断されたものは1例もなく,全てが足関節捻挫のようです。

 足関節捻挫と診断されたものの,疼痛が続いており歩行困難をきたしているときには,立方骨骨折,踵骨前方突起骨折を疑い,専門医を精査目的で受診する必要があります。

 受傷直後に立方骨骨折が診断され,徒手整復後にギプス固定,その後は硬性アーチサポートで外側縦アーチが保持されていれば,平均的には3ヶ月前後で骨癒合が得られ,骨折部に疼痛を残すことも扁平足に発展することもありません。
つまり,非可逆的(元に戻らない)な骨折でもない限り,後遺障害を残さないと言うことです。

 ところが大きな足関節捻挫と診断され,湿布程度の処置で放置されたときは,リハビリを続けても疼痛の改善はなく,ひどい痛みにようやくCT撮影をしたことで立方骨骨折が発見されても,交通事故での骨折なのか?と疑いを持たれてしまいます。
手術が選択されることも少なく,残存症状は後遺障害の認定で決着をつけることになります。

 レントゲン,CT,3DCTで変形性骨癒合や扁平足を丁寧に立証することで,12級13号の認定は確実なものとなります。
扁平足は足部の外側縦のアーチが崩れても,それだけで扁平化することは少なく,この領域で等級が認定されたことはほぼありません。

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