右足関節果部骨折
右足関節果部骨折
足関節は,足関節の上にある脛骨・腓骨の遠位端とこれらに接触している距骨(きょこつ),脛骨(けいこつ)・腓骨(ひこつ)と靭帯でつながっている踵骨で形成されています。
レントゲン,CT,MRIで右腓骨の骨幹部骨折を確認したところ,右腓骨は衝撃で中央部の骨幹部が横骨折し,その外力で腓骨遠位端部が脱臼骨折していました。
右腓骨の骨幹部はAOプレートで固定,脛骨と腓骨の離開はボルト固定,剥離した脛腓靱帯はアンカーボルトで固定されています。
右足関節の可動域は,背屈が15°屈曲が35°であり,2分の1に近い制限が認められました。
3ヶ月経過で10級11号+5°の可動域ですから,6ヶ月の時点で症状固定とすれば,12級7号の等級認定が予想されます。
足関節果部とは,腓骨の一部である外果と脛骨の一部である内果,脛骨遠位端前側の内果と脛骨遠位端後側の後果のことで,梅干しとか,踝(くるぶし)と呼ばれている部分です。
右足関節果部骨折における後遺障害
損害保険料率算出機構調査事務所へのアプローチ
- 足関節のどの部分にどのような骨折をしているのか?
- その後の治療により,どのように骨癒合しているのか?
- 足関節にどのレベルの可動域制限を残しているか?
- 例外的に,足関節および足趾に神経麻痺があり,それが立証されているか?
10級11号が認定されれば,訴訟基準では3000万円を超える損害賠償額となります。
審査では,いつでも3段論法で精査が行われており,可動域のチェックは最終判断項目となるのです。
なぜ2分の1以下の可動域となったのか?それに至る理由が必要とされます。
これらの3段論法に対応するには,
- 脛骨,腓骨,距骨,踵骨,どの骨が骨折しているのか?
- 骨折の部位は,骨幹部それとも遠位端? 遠位端であれば,外果,内果あるいは後果?
- 骨折の形状は,亀裂,開放性,粉砕,剥離? 手術の内容は? 現在の骨癒合状況は?
- 周辺靭帯の損傷は? 靱帯損傷がMRIで立証されているか?
- 最後に,足関節にどのレベルの可動域制限が認められるか?
- 痛くて動かすことができない → 疼痛の原因は?
- 関節烈隙(かんせつれつげき=関節の隙間)の狭小化や関節部の軟骨損傷はあるか? → 変形性足関節症なのか?
- 腓骨神経麻痺などで力が入らないのか? → 神経伝達速度検査,針筋電図検査で立証されているか?
これらの確認が必要となります。
どの骨,どの部位,どんな骨折,骨の癒合状況,これらは,XP,CTで確認できます。
靱帯損傷なら,MRIでチェックする必要があります。
腓骨神経は,下腿を走行する神経ですが,坐骨神経から腓骨神経と脛骨神経に分かれ,腓骨神経は,膝の外側を通り,腓骨の側面を下降して,足関節を通過,足趾に達しています。
腓骨神経麻痺を議論するには,上記の要件を把握している必要があります。
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