視神経管骨折(ししんけいかんこっせつ)

視神経の走行
①眼球 ②視神経 ③視神経管 ④視交叉 ⑤後頭葉視中枢

視神経管骨折とは、眼と脳をつなぐ視神経を包み込んでいる視神経管に骨折が生じたもので、
外傷の衝撃で、視神経の周囲の骨が骨折し、視神経の圧迫や切断が予想される傷病名です。

代表的には、眉毛の外側部を強打することで、視神経管の骨折が多発しています。

交通事故では、歩行者、自転車やバイクの運転者の転倒、墜落により発症しています。

以前は、車VS車の正面衝突で、運転者がフロントガラスに突っ込み、
視神経を切断することもあったのですが、シートベルトの普及により、これは激減しています。

 視神経管骨折では、視神経の損傷により、直後から、視力低下や視野狭窄、直接対光反射の
減弱の症状が出現し、目からの大量出血、激痛、目の腫脹が見られ、重度では、
意識障害やショック状態を呈します。

ペンライトで瞳孔に光を入れる対光反射検査、細隙灯顕微鏡検査、眼底・視力・視野の検査、
さらに視神経管撮影、頭部のCT、MRIなどの画像診断で骨折や出血を確認、診断します。

視神経周囲の骨が、視神経を切断しているときは、24時間以内にオペを実施しても、
予後は不良で、高度の視力障害を残すか、失明となります。

視神経周囲の骨の断片が、神経を圧迫しているときは、手術により、圧迫の骨片を除去します。
放置しておくと、視神経は委縮し、こうなると失明は確定的です。

※視神経萎縮
直像鏡で眼底部をチェックすると、視神経は、血色が悪く、黄色味がなくなり、白く変化しています。
これを視神経萎縮と言い、視神経の切断では、2、3週間の放置で視神経萎縮は完成します。

骨折がなく、視神経の周囲が出血したときは、視力は低下しますが、失明の危険はありません。

視神経管骨折における後遺障害のポイント

視神経管骨折による視神経の切断では、受傷から24時間以内の手術であっても予後は不良で、
高度な視力低下もしくは失明となります。

 1)失明の立証について、視力低下の立証について
失明とは眼球を失ったもの、明暗を区別できないもの、ようやく明暗を区別できるもの、
つまり矯正された視力で0.01未満を言います。

イラストは手動弁と指数弁を表示しています。
手動弁とは、被害者の眼前で手を上下左右に動かし、動きの方向を弁別できる能力を言います。
指数弁とは、被害者に指の数を答えさせ、距離によって視力を表します。
1m/指数弁=視力0.02、50cm/指数弁=視力0.01に相当します。

暗室において被害者の眼前で照明を点滅、明暗を弁別させる光覚弁(明暗弁)がありますが、
いずれも失明の検査となります。

1眼が失明し、または1眼の視力が0.02以下になったものは、8級1号が認定されています。

2)視力の低下について、
眼の直接の外傷による視力障害は、前眼部・中間透光体・眼底部の検査で立証します。
前眼部と中間透光体の異常は、スリット検査で調べます。
眼底部の異常は、直像鏡で検査します。

スリット検査

直像鏡

視力検査は先ず、オートレフで裸眼の正確な状態を検査します。
例えば、水晶体に外傷性の異常があれば、エラーで表示されるのです。
その後、万国式試視力検査で裸眼視力と矯正視力を計測します。

オートレフ

前眼部・中間透光体・眼底部に器質的損傷が認められるとき、つまり、眼の直接の外傷は、
先の検査結果を添付すれば後遺障害診断は完了します。

これらで明らかな異常所見が認められないときは、
電気生理学的検査、ERG(electroretinogram)を受ける必要があります。

ERG

自賠責調査事務所は、明らかに客観的な他覚所見が取れることを理由に、
この検査結果を最も重要視しています。

実際に視力が悪いのに良く見せようとする「ごまかし」は見破られます。
しかし,実際は良く見えているのに、見えませんとなると「お手上げ」で、見破れないのです。

視力で後遺障害を獲得するとき、前者はなく、後者を詐盲と呼んでいます。

自賠責調査事務所は、被害者の殆どが詐盲を装う?そんな妄想に取りつかれているのかも
知れません。

ERGは網膜電位と訳すのですが、網膜に光刺激を与えたときに現れる網膜の活動電位を
グラフにして記録したもので、当然に、ごまかしは、全くできません。

最後に、視覚誘発電位検査、VEP(visual evoked potentials)です。

これは眼球の外傷ではなく、視神経損傷が疑われるときの検査で、
網膜から後頭葉に至る視覚伝達路の異常をチェックします。光刺激によって
後頭葉の脳波を誘発し記録します。

VEP

視力の低下による等級は、以下を参照ください。

視力に関すること
1級1号 両眼が失明したもの、

視力の測定は万国式試視力表によることとされています。失明とは眼球を摘出したもの、明暗を判断できないもの、ようやく明暗を区別できる程度のものを説明しています。

2級1号 1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの、

この場合の視力とは矯正視力のことを説明しています。

平成14年4月からコンタクトレンズによる矯正も認められるようになりました。

2級2号 両眼の視力が0.02以下になったもの、
3級1号 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの、
4級1号 両眼の視力が0.06以下になったもの、
5級1号 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの、
6級1号 両眼の視力が0.1以下になったもの、
7級1号 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの、
8級1号 1眼が失明し、または1眼の視力が0.02以下になったもの、
9級1号 両眼の視力が0.6以下になったもの、
9級2号 1眼の視力が0.06以下になったもの、
10級1号 1眼の視力が0.1以下になったもの、
13級1号 1眼の視力が0.6以下になったもの、

 

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