味覚障害

味覚は、甘味、塩味、酸味、苦味の基本4要素からなるといわれていましたが、
最近では旨味を加えて基本5要素としています。

味覚を感じる器官は、味蕾(みらい)と呼ばれ)、そのほとんどは舌の表面の乳頭、
有郭乳頭、葉状乳頭、茸状乳頭という組織に存在しますが、咽頭粘膜などにも認められます。

甘味、塩味、酸味、苦味の4要素では、感じ方にそれほどの差はなく、旨味のみ、舌の側面、
付け根の部分で強く感じると報告されています。

これらの味覚を司つかさどる神経は、舌の部分により異なっています。

味覚と嗅覚は、風味といわれる通り、密接に関連していることが報告されており、
嗅覚が低下することにより、味覚にも変化が生じています。

交通事故では、頭部外傷や顔面神経麻痺などを原因として発症しています。

味を感じる経路は、

①味物質の味蕾への到達

②味蕾での知覚

③中枢への伝達に分類されるのですが、交通事故においては、舌や顎周辺組織の損傷を
原因とすることもあり得るのですが、圧倒的には、中枢への伝達障害が予想されます。

 

味覚障害における後遺障害のポイント

1)味覚障害を他覚的に立証するには、ろ紙ディスク法の最高濃度液検査を受けます。

これは、甘味、塩味、酸味、苦味の4つの基本となる味のついた、ろ紙を舌の上において味質の
障害を見る検査法で、薄い味から濃い味へと5段階で検査が行われます。

 

グレード 1 2 3 4 5
甘味 S

精製白糖

15mg

0.3%

125mg

2.5%

500mg

10%

1000mg

20%

4000mg

80%

塩味 N

塩化ナトリウム

15mg

0.3%

62.5mg

1.25%

250mg

5%

500mg

10%

1000mg

20%

酸味 T

酒石酸

1mg

0.02%

10mg

0.2%

100mg

2%

200mg

4%

400mg

8%

苦味 Q

塩酸キニーネ

0.05mg

0.01%

1mg

0.02%

5mg

0.1%

25mg

0.5%

200mg

4%

 

検査の結果が、4つの味でレベル1~3であれば、基準範囲内です。

レベル5は、認知不能ですが、味質溶液1mLをピペットで滴下する全口腔法で、認知不能であれば、
味質脱失と診断されます。

味覚の脱失とは、基本となる 4 味質の全てが認知できないもので、12級相当が認定されます。

味覚の減退とは、基本味質の内、1質以上を認知できないもので、14級相当の認定です。

 

他に、舌を微量な電流で刺激して判断する電気味覚検査法、血液の血清中の亜鉛値を測定する
方法がありますが、ろ紙ディスク法の最高濃度液検査が主流です。

 

2)頭部外傷後の高次脳機能障害であっても、味覚の障害は、ほとんどが減退の14級レベルです。

多くは、嗅覚の脱失の影響を受けているものと予想しています。

したがって、同時に、嗅覚障害の立証を行うことを忘れてはなりません。

高次脳機能障害では、被害者が味覚や嗅覚の異常を訴えることは、ほとんどありません。
例えば、カレーライスの臭いや味が分からなくても、それらは脳が記憶しているのです。

記憶だけで、美味しいと言うのです。

多くは、漬物やお浸しに、異常とも思えるほど醤油をかけたり、最近、母の料理は味が濃くなって
食べられないと訴える等で、家族や周囲が気づいているのです。

注意深く、観察を続けなければなりません。

 

3)嗅覚の障害は、味覚の脱失のところで説明していますが、T&Tオルファクトメーター検査で
立証してください。

静脈注射のアリナミンPテストもありますが、どんな臭いが? どれくらい臭わなくなったか?
これらを明らかにするには、T&Tオルファクトメーター検査が必要で、この検査で初めて、
12級、14級、もしくは非該当を判定することができるのです。

 

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