クロスフィンガー

クロスフィンガー

クロスフィンガーについて

患指が,となりの指の下側に潜り込むことをクロスフィンガーと言います。

事例紹介と獲得した後遺障害等級

ある事例を紹介させていただきます。右人差し指の中手骨々折がありました(下記図の)。

 ピンニング固定されたのですが,抜釘後に人差し指が中指の下に潜り込むクロスフィンガーが出現しました。
中手骨骨折部が回旋した状態で骨癒合したことが原因でした。このような場合,通常は骨切り術で対応します。
再骨折させ,指を曲げたときに重ならない位置に整複して,ミニプレートなどで固定する手術です。
ところが本件の被害者は,ドアに指を挟まれて挫滅骨折をしており,面談した主治医は,骨切り術を実施しても必ず元通りになるとは言えないとの所見でした。

 そこで手術は断念することにし,後遺障害診断書には,「挫滅的な骨折の状況からクロスフィンガーを残したものである。」と医師所見の記載を受けました。

 被害者は建築設計事務所に勤務,CADを使用して設計をしています。
右人差し指のクロスフィンガーは,パソコン操作では致命的であり,その作業の様子をビデオ撮影で立証しました。
結果,疼痛と作業効率の低下が評価され,12級13号が認定されました。

12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」

 最近,左小指MCP関節の関節包損傷を原因として,左小指がクロスフィンガーとなった被害者から相談があり,医大系病院整形外科,手の専門医を紹介し精査受診中です。

予想される後遺障害等級

★手の専門医の骨切り術でクロスフィンガーが矯正されれば,当然後遺障害を残しません。
★クロスフィンガーによる後遺障害は,等級認定表に直接さだめられておりません。
クロスフィンガーを含めて手指の後遺障害は,手指の欠損もしくは用廃,手関節の機能障害が規定されているだけです。

  •  9級12号  一手の親指又は親指以外の2の手指を失ったもの
  •  9級13号  一手の親指を含み2の手指の用を廃したもの又は親指以外の3の手指の用を廃したもの
  • 10級 7号  一手の親指又は親指以外の2の手指の用を廃したもの
  • 11級 8号  一手の人差し指,中指又は薬指を失ったもの
  • 12級 9号  一手の小指を失ったもの
  • 12級10号  一手の人差し指,中指又は薬指の用を廃したもの
  • 13級 6号  一手の小指の用を廃したもの
  • 13級 7号  一手の親指の指骨の一部を失ったもの
  • 14級 6号  一手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
  • 14級 6号  一手の親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの

 紹介させていただいた事例では手指に運動制限は認められていませんでした。
したがって,政令別表の規定により,他の後遺障害に準じて等級の認定を求めることになります。
このような場合は,左小指のクロスフィンガーにより,日常・仕事上でどのような支障が認められるのかこれらを丁寧に立証していかなければなりません。

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