手指の欠損について

手指の欠損について

1  手指の重要性について

 手指は親指,人差し指,中指,環指=薬指,小指の5本で構成されています。

 機能的な面で一番大切なのは親指です。
親指は手指全体の機能の40%を占めるとされており,これを失うと後遺障害等級も9級12号が認定されます。
次に大事なのは,予想外かもしれませんが小指と言われているのです。親指と小指でものを挟めるだけで,その手の能力は高まると言われており,小指の欠損は,格上げされ,12級9号が認定されています。
小指と環指(=薬指)はパワーグリップの主役をなす指です。 小指の一部をカットすると物を力強く握れなくなります。 小指を上げたままにして手を握ると理解ができます。
3番目に大事なのは環指で,等級序列では2番目の11級6号が認定されています。 人差し指,中指,環指の切断は同列の扱いです。
4番目に大事なのは中指で,優先順位の最後は人差し指とされています。
確かに人差し指は日常ではあまり使わないのかもしれません。 しかし,PCを使用する私にとっては命取りです。

2  予想される後遺障害等級

手指の欠損障害による後遺障害等級
3級5号 両手の手指の全部を失ったもの
母指にあっては指節間関節,その他の指にあっては近位指節間関節以上を失ったもの
6級8号 1手の5の手指または親指を含み4の手指を失ったもの
7級6号 1手の親指を含み3の手指を失ったものまたは親指以外の4の手指を失ったもの
8級3号 1手の親指を含み2の手指を失ったものまたは親指以外の3の手指を失ったもの
9級12号 1手の親指または親指以外の2の手指を失ったもの
11級8号 1手の人差し指,中指または薬指を失ったもの
12級9号 1手の小指を失ったもの
13級7号 1手の親指の指骨の一部を失ったもの
1指骨の一部を失ったこと,その程度は1指骨の一部を失ったことがXPによって明確であるものおよび遊離骨片が認められるものを説明しています。
ただし,その程度が手指の末節骨の長さの2分の1以上を失った場合は,手指の用を廃したものとなる
14級6号 1手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの

3  手指の欠損の治療方法について

 テレビを見ていると,切断した指を氷詰めにして病院に持っていくというシーンがありますが,この方法は本当に有効で,ビニール袋に氷を詰めて病院に持っていったときは24時間以内に氷詰めにしない常温とでは,6時間以内であれば再接着の成功率が高いデータがあります。
当然のことですが,切断肢の止血時間も再接着には重大な影響があります。

 再接着は,専門医の領域で,現在はマイクロサージャリー,顕微鏡下での手術により細い神経や血管の接合術が行われています。

 手指を失ったものとは親指では指節間関節=IPより先その他の指では,近位指節間関節=PIPより先となります。

 親指以外では,第1関節=DIPより先を失っても14級6号が認定されるに過ぎません。
このケースでは,DIPより先の2分の1以上を失っていれば14級6号の認定です。

4  手指の欠損における症状固定時期について

 切断は,非可逆的損傷ですから6カ月を待つ必要はありません。
切断肢の断端形成が完了,幻肢痛が改善したときが症状固定のタイミングとなります。
断端形成とは,切断端を皮膚で覆う形成術のことです。 手
指を切断することで,存在しないはずの部分に感覚を感じることがあり,切断患者の多くの50~80%に,その症状が認められています。
感覚を感じることを幻視と言い,幻視部分が痛むときは幻肢痛と言います。

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