腰椎分離・すべり症について
腰椎分離・すべり症について
CTで,上下の関節突起の中央部が断裂しています。
分離症は,椎弓の一部である上下の関節突起の中央部が断裂しており,連続性が絶たれて,椎弓と椎体,つまり,背骨の後方部分と前方部分が離れ離れになった状態です。
原因は,先天性と後天性があるとのことですが,身体が柔らかい中学生頃にジャンプや腰の回旋を繰り返し行うことで,腰椎の後方部分が疲労骨折したのではないかと推定されており,日本人の5~7%に分離症があると言われています。
ところが,大多数は分離症があっても,痛みもなく通常の日常生活を続けています。
しかし,交通事故受傷の衝撃が腰部に加わり椎体が前方向にすべり,分離すべり症となります。
分離は,事故前から存在したもので,それを原因としてすべり症となったのです。
分離すべり症のほとんどは,L5に発生しています。
治療は,腰椎コルセットを装用,安静加療が指示されます。
安定期に入ると,腹筋・背筋を強化するリハビリで腰痛の発生を抑えます。
腰痛や神経根圧迫による臀部,下肢の疼痛,間欠性跛行で歩行できる距離が100m以内,膀胱・直腸障害が出現しているときは,神経の圧迫を除去する椎弓切除術,脊椎固定術が実施されます。
最近では,TLIF片側進入両側除圧固定術が主流となりつつあるようです。
腰椎分離・すべり症における後遺障害について
事故受傷後のXP検査で分離症の存在を知る被害者が圧倒的です。
つまり,事故前にはこれといった支障もなく,普通に日常生活をしていたのですが,画像で分離症が確認されている限り,既往歴と断定されることになります。
椎弓切除術,脊椎固定術が実施されても,脊柱の変形で11級7号が認定されることはありません。
保存療法,オペにかかわらず,L5に疼痛を残す被害者では,3DCT,MRIで骨癒合を明らかにして,痛みの神経症状を後遺障害診断書で明らかにします。
ケースにより「局部に神経症状を残すもの」として14級9号が認定される場合があります。
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