足関節果部脱臼骨折、コットン骨折

足関節は、𦙾骨と腓骨で形成されるソケットに、距骨がはまり込むことで構成、成立しています。

踵骨は、𦙾骨、腓骨と靭帯でつながっており、広義には、足関節は、𦙾骨、腓骨、距骨、踵骨の
4つの骨で構成され、成立しているのです。

足関節内果とは、𦙾骨の遠位端部、内側の梅干し、外果とは、腓骨の遠位端部、
外側の梅干しのことですが、これらの骨折に加えて、𦙾骨関節面の後縁、
または前縁のいずれかの骨折を合併したものをコットン骨折=三果部骨折といい、
足関節脱臼骨折の重症例です。

𦙾骨関節面前縁部骨折の合併では、足関節の背屈が強制されることにより、
距骨が前方に脱臼し、𦙾骨関節面後縁部骨折の合併では、足関節底屈が強制されることで、
距骨が後方に脱臼します。

交通事故受傷によるコットン骨折では、足関節が大きく内・外転することにより、
骨折以外にも足関節周囲の靱帯損傷を合併します。

その結果、骨折の状態や転位の程度により異なりますが、足関節部に痛みや腫れ、
皮下出血、外反変形や内反変形など病態は様々な組み合わせとなります。

診断は、足関節の腫れ、圧痛、変形、皮下出血をチェック、骨折は、レントゲンで確定します。

粉砕骨折では、CT、特に3DCTやMRI撮影が必要です。

 

足関節の運動は、つま先を上げる背屈、つま先を下げる底屈、内側につま先を向ける内転、
外側につま先を向ける外転、足を内側に捻る回内、足を外側に捻る回外の4運動です。

通常、自分の足の裏を見る場合、内転・回外・底屈の動きを一緒にさせる必要があります。
実際にトライして、動きを学習してください。

内転・回外・底屈の3つの動きを1つにしたときは内返し、逆に、外転・回内・背屈の
3つの動きを1つにしたときは、外返しと呼んでいます。

内側・外側への衝撃により足首を骨折したときは、腓骨の下端と脛骨の下端が骨折し、
三角靭帯や踵腓靭帯も断裂して、距骨が異常に内転・外転したりします。

骨折を放置すると偽関節になりやすく、多くはギプス固定が選択されています。

転位のないものは4~6週のギプス固定でOKですが、たとえ1㎜程度の距骨の外側への
ズレでも荷重面が変わり関節軟骨が磨耗するところから、麻酔下に整復固定を行い、
ギプスをタイトに巻いて8~10週間の固定が実施されています。

転位の大きいものは、他の骨折と同じく観血的にプレートやキルシュナー鋼線等で固定します。
整復不能例は海綿骨ネジ、引き寄せ締結法、プレート固定の適用となります。
三果骨折、コットン骨折後の足関節の可動域の予後は不良です。
難治性疼痛症候群、CRPSカウザルギーを惹起しやすい部位でもあります。

コットン骨折における後遺障害のポイント

1)交通事故では、バイクVS自動車の出合い頭衝突で、お互いにスピードを出している
高エネルギー外傷により、バイクの運転者に発症することがほとんどです。

ほとんどが、健側に比して患側の可動域が2分の1以下に制限される10級11号が
認定されているのですが、直近では、足関節の変形癒合で拘縮、強直状態となり、用廃として
8級7号、足関節部の挫滅骨折で、やむなく足関節の固定術がなされ、8級7号が認定されている
ものもあります。

2)手術後は、足関節部に荷重が掛からないようにPTB装具を装用して骨癒合を待ちます。

ギプス固定期間は、通院実日数としてカウントされますが、PTB装具もギプス固定に該当します。
治療先の診断書には、下から2行目にギプス固定期間を記載する欄があります。
退院後、PTB装具で過ごしている期間は、ギプス固定期間となり、通院実日数にカウントされます。
保険屋さんからは、診断書のコピーを求め、正しく記載されているかをチェックしなければ
なりません。

3)コットン骨折では、

①完璧な整復
②強固な固定
③早期からの理学療法の開始

これらが、絶対に必要です。
これらの3点がおざなりにされると、

①腓骨短縮
②内果変形治癒
③距骨脱臼遺残
④靭帯機能不全

等々の後遺障害を残すことになります。
主治医はこの場合、どうして変形したかを説明することなく、変形治癒を宣告するのです。
変形は確認ができますが、それでも治癒は、どうしても理解することができません。
技術の伴わない医師の治療は、変形治癒ではなく、ヘタ打ち変形ではないでしょうか?

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