リスフラン靱帯損傷
リスフラン靱帯損傷
リスフラン関節部分を詳しく見ると,靱帯が,それぞれの骨をきっちりと締結しています。
オレンジ色の靭帯が,リスフラン靭帯です。
水色で囲んだ靭帯は,隣り合う骨どうしを互いに締結していますが,リスフラン靭帯だけは斜めに走行し,斜め下の第2中足骨と楔状骨(けつじょうこつ)を連結しています。
足の骨を横から見ると,リスフラン関節部分の頂点部は,足のアーチの頂点と一致しており,足部に体重がかかったときに,この関節がクッションの役目を果たしています。
リスフラン靭帯が損傷すると,つなぎ止めていた骨同士の連結が無くなり,上図の矢印の様に骨の間の隙間が開くようになります。
このことを,中足・楔状骨間離開(ちゅうそく・きつじょうこつりかい)と言います。
つまり靭帯が切れて,骨どうしをつなぎ止めることができないので, リスフラン関節部分が不安定な状態になり,アーチ構造が崩れて,体重をかけたときに痛みを生じるのです。
リスフラン関節脱臼骨折・リスフラン靱帯損傷における後遺障害
<ケース>MRIで立証しても「とき、すでに遅し」が存在する?
30代前半の男性の例。
足の甲の部分を押さえると激痛が走り,歩行時の痛みが強い。
足の甲がやや腫れぼったく,第1中足骨近位端部を軽く押すと痛みを訴えるが,激痛ではない。
事故後,8ヶ月を経過して撮影されたMRIで,僅かな中足・楔状骨間離開が認められた。
ほぼリスフラン靱帯損傷の状況だが,診断書の傷病名は,「足関節の打撲・捻挫」。
保険会社から打ち切りを打診され,念のために受診した医大系の病院でMRI撮影を受け,靱帯損傷の可能性を指摘されたが,事前認定の結果は非該当だった。
<解説>
受傷直後にリスフラン靱帯損傷と診断されていることが理想ですが,これは,主治医の診断力次第であり,被害者がコントロールできることではありません。
傷病名の診断がなくても,足の甲部分に激痛と歩行時の痛みなどの自覚症状があり,それらがカルテに記載されていれば,その後に傷病名が確定しても,後遺障害の可能性が見えてきます。
後遺障害は獲得できるか?
リスフラン関節の脱臼骨折のトピックでは,一般的には,ほとんど後遺障害を残すことはないとご説明しました。
それはあくまでも一般論です。交通事故で加わる外力はスポーツの比ではなく,さらに被害者の身体能力もそれほど鍛えられていないことがほとんどです。
痛みを残していれば3DCTで骨癒合状況を,靱帯損傷はMRIで立証することにより,14級9号,12級13号を獲得した例があります。
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