距骨々軟骨損傷
距骨々軟骨損傷
距骨骨折の解説では「距骨表面の80%は関節軟骨で覆われ,筋肉が付着していないこともあり,血流が乏しい特徴がある。」と説明しました。
足関節を骨のパーツで見ると,距骨は脛骨と腓骨で挟み込まれるソケット構造となっています。
そして距骨は,距骨滑車で脛骨や腓骨と,距骨頭で舟状骨と,前・中・後距骨で踵骨と関節面を形成しており,これらの表面は軟骨で覆われています。
距骨々軟骨損傷は,距骨々折ほど重症例ではありませんが,足首の捻挫に合併する代表例です。
オレンジ色の線は,足首の捻挫で,伸びたり切れたりすることの多い前距腓靭帯です。
青い丸の部分は,距骨々軟骨損傷で痛みを感じる部位です。
足関節を,底屈時に,内返し捻挫すると,前距腓靱帯を損傷,断裂することも珍しくありません。
このときに,距骨と脛骨が衝突し,衝撃で,距骨内側の軟骨を損傷するのです。
背屈時の内返し捻挫では,腓骨と接する距骨外側で軟骨が損傷します。
軟骨損傷は軟化に始まり,亀裂→分離→遊離と重症化していきます。
①軟骨の軟化 ②軟骨の亀裂 ③軟骨の分離 ④軟骨の遊離
MRIにより,症状の診断が可能です。
①②では,足関節のサポーターの装用,もしくはギプス固定で経過観察となります。
③④であれば,関節鏡により軟骨の除去術が選択されます。
関節鏡による手術であっても,10日~2週間の入院が必要となります。
損傷の大きさとステージによって異なりますが,歩行は術後3週間で可能となります。
しかし日常生活の復帰には約3ヶ月,スポーツの再開となると,4,5ヶ月を要します。
距骨々軟骨損傷における後遺障害
距骨々軟骨損傷の後遺障害は,損傷部の疼痛と,足関節の可動域制限です。
受傷直後に,専門医が軟骨損傷を診断,治療を行ったときは,後遺障害を残すことは少ないといわれています。
広い範囲に軟骨損傷が認められるときは,14級9号,12級13号の痛み(=神経症状を残すもの)や,12級7号の運動制限を残すことも予想されます。
問題となるのは,足関節の捻挫,前距腓靱帯損傷で軟骨損傷を見逃されたときです。
見逃されたまま第4ステージまで重症化すると,遊離した軟骨により,周囲の軟骨が損傷し,軟骨損傷の範囲が大きくなり,変形性足関節症に進化してしまいます。
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