骨盤の仕組み
骨盤の仕組み
骨盤はお尻の中央部にある仙骨とその先にある尾骨,大きな2枚の寛骨の組み合わせで構成されています。腸骨,恥骨と坐骨を総まとめにして,寛骨と呼びます。
骨盤上部には頚部から一直線の脊椎骨,下部には大腿骨があり,骨盤は体の中心にあります。
直立二足歩行をする人間の骨盤は,上半身の体重と足からの衝撃の全てを受け止めています。
体幹の姿勢を支え,身体の要となっているのが骨盤です。
骨盤のパーツを紹介しておきます。
①腸骨(ちょうこつ)
骨盤の左右に張り出ている大きな骨で,腰骨とも呼ばれます。
骨移植のとき骨採取されるもので,自分の手でも触って確認することができます。
②恥骨(ちこつ)
骨盤の前側に位置しています。
③坐骨(ざこつ)
骨盤の底に位置する骨で,椅子に座ってお尻の下に手を入れると感じることができます。
④仙骨(せんこつ)
骨盤の中心部にはまり込んでいる逆三角形の骨です。
⑤仙腸関節(せんちょうかんせつ)
左右の腸骨と仙骨を繋いでいます。
⑥尾骨(びこつ)
しっぽの名残と言われており,仙骨の先についています。
⑦恥骨結合(ちこつけつごう)
左右の恥骨の関節部分で,硝子軟骨で形成されています。
⑧骨盤入口(こつばんにゅうこう)
左右の寛骨・仙骨・2つの仙腸関節・恥骨結合をつなぐ輪で,赤ちゃんが通る産道となっています。
女性 男性
女性の骨盤は洗面器型と呼ばれ,妊娠・出産に適した形になっています。
男性の骨盤は女性に比較すると深くて狭いバケツ型となっています。
骨盤の中央の孔は男性では三角形に近く,女性では丸くなっています。
これは出産時に,胎児が通過しやすくしているのです。
⑨靱帯(じんたい)
仙腸関節の靭帯には,前仙腸靭帯,仙結節靭帯,仙棘靭帯,骨間仙腸靭帯,長・短後仙腸靭帯,腸腰靭帯などがあり,仙腸関節の前面を,後仙腸靭帯は仙腸関節の後面を補強しています。
骨間仙腸靭帯は,強靭な靭帯であり,仙腸関節を補強し,腸骨と仙骨の関節の溝を埋め,仙腸関節を留めて,正しく制御しています。
腸腰靭帯は,L4から付着する靭帯を上方線維,L5から付着する靭帯を下方線維と呼んでいます。
上方線維は屈曲時に,下方線維は伸展時に緊張,右側屈では,左側の腸腰靭帯が緊張する仕組みとなっています。腸腰靱帯は,腰仙椎関節の安定に大きく寄与しています。
骨盤骨は仙骨と尾骨,大きな2枚の寛骨の組み合わせで骨盤輪を形成していますが,周辺靱帯により,一層強固に締結されていると理解しておくことです。
骨盤骨折における後遺障害のポイント
骨盤は左右の恥骨,坐骨,腸骨と仙骨で構成され,後方は仙腸関節,前方は恥骨結合で融合して骨盤輪を形成しており,体幹の姿勢を支え,身体の要となっています。
骨盤輪の中には,S状結腸,直腸,肛門,膀胱,尿道,女性はこれらに加えて,子宮,卵巣,卵管,腟が収納されており,消化管は下腸間膜動脈,女性性器は卵巣動脈と子宮動脈,泌尿器系は内腸骨動脈により必要としている酸素と栄養素を供給されています。
骨盤骨折における後遺障害は以下の3点です。
- 骨盤骨折自体に関するもので,疼痛や股関節の運動障害,骨盤の歪みを原因とする下肢の短縮
- 骨盤輪内に収納されている臓器の損傷
- 内腸骨動脈などの血管の損傷
原因のほとんどは交通事故によるものですが,転落あるいは墜落によっても損傷が発生しています。
前方からの外力では,恥骨骨折,坐骨骨折,恥骨離開=左右の恥骨が開くこと,下方からの外力では,恥骨骨折,坐骨骨折,同側の仙腸関節離開,寛骨臼骨折,そして外側からの外力では,寛骨臼骨折,腸骨骨折を生じます。
なお女性は妊娠4週頃から出産直後にかけて,胎盤の元となる組織から大量のリラキシンというホルモンが分泌されます。
骨盤を斜め上から見ると,
このリラキシンは,骨盤の靭帯を緩める役目を果たしています。
恥骨結合を固定している靭帯と仙腸関節を固定している靭帯の2つが緩み,産道を拡げています。
具体的な後遺障害は,各論で説明いたします。
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