横隔膜の仕組み
ヒトは、生きるために、呼吸を続けなければなりません。
呼吸とは、口・鼻から入った空気を肺に送り込み、空気中の酸素を血液の中に取り込み、
燃えカスとなった二酸化炭素を排出することです。
ところが、肺には筋肉がないので、自力で膨らませる、縮ませることができません。
では、どうやって肺呼吸は行われているのか?
肋間筋、頚部や腹部の筋肉もサポートしているのですが、主体的には、
横隔膜の筋肉の働きにより、肺呼吸が行われているのです。
横隔膜は、胸骨、肋骨、脊椎からなる胸郭、つまり籠型の骨組みの底面に付着しています。
ドーム状の薄い膜の筋肉で、胸腔と腹部を仕切る蓋の役目を果たしています。
横隔膜が縮んで下がると、胸腔がふくらみ、肺の中に空気が入って息を吸うことができます。
反対に横隔膜が伸びて上がると胸腔はしぼみ、肺の中の空気が排出されるのです。
余談ですが、横隔膜の痙攣により、伸び縮みを繰り返すと、シャックリになります。
交通事故では、胸部に対する強い打撃により、横隔膜が破裂することがあります。
重篤な傷害ですが、発見が早ければ、手術で一定の改善が得られます。
もう1つは、横隔神経の切断です。
横隔膜の筋肉は、頚椎、C3=横隔神経により支配されています。
上位頚髄損傷で、横隔神経が切断されると、自力呼吸ができなくなり、
人工呼吸器=レスピレーターの装着が余儀なくされます。
上位頚髄損傷では、四肢体幹麻痺を伴い、自力で体動することができません。
常時、介護が必要な状態となり、別表Ⅰの1級1号が認定されますが、循環不全により、
長生きは期待できない深刻な外傷です。
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