膝蓋前滑液包炎
膝蓋前滑液包炎
上の赤○は膝蓋前皮下滑液包,下の赤○が脛骨粗面皮下滑液包
膝蓋前滑液包は皮膚と膝蓋骨=膝のお皿の間に位置しており,膝に対する摩擦を和らげ膝関節の可動域を最大にする役目を果たしています。
交通事故では多くが自転車で転倒し,膝を強く打ったときに発症しています。
頻繁な膝の曲げ伸ばしで発症することもあり,Housemaid’s Knee 女中膝とも呼ばれています。
膝蓋骨の上辺り,部分的に直径2~3cmの腫れが出現し,触れるとブヨブヨとした感触があります。
次第に痛みが出現し,腫れもやや大きくなり,膝をスムースに動かせなくなります。
このとき,膝蓋前滑液包は炎症を起こしており,ドロドロの滑液包に水がたまっている状態です。
初期であれば膝をつかない・正座をしないようにすると,腫れは引いて痛みもなくなります。
慢性期であっても,手術はほとんどありません。
膝蓋前滑液包にたまった水を抜き,非ステロイド性抗炎症薬の注射や,膝つきと正座の禁止,リハビリによる膝関節可動域訓練で改善が得られ,後遺障害を残すこともありません。
膝蓋前滑液包炎における後遺障害のポイント
この傷病名だけであれば,基本的には,後遺障害を残すことはありません。
後遺障害を残すようなケース
50代女性の例です。
横断歩道を自転車で走行中に,左折の自動車に衝突され,転倒した際に左膝を強打,6ヶ月が経ったが,腫れも痛みを引かず,自転車に乗れなくて困っている。
治療先の診断書には,頚部捻挫,腰部挫傷,左膝打撲の傷病名が記載されています。
「「レントゲンでは,膝関節に骨折などの異常はないから,ちょっと強い打撲でしょう」と言われ,膝上の腫れを訴えても,診ることも触ることもなく,年のせいと言われなんの処置もされませんでした。仕方がないので近所の整骨院に通っていますが,腫れも痛みも改善しません。保険会社からは,今月一杯で治療を打ち切ると宣告されました。これから,どうすればいいのでしょうか」
膝をみたところ,膝蓋骨上部は腫れており,軽く触れたのですが,熱感もあります。
腫れが膝全体におよんでいる印象ではなく,膝蓋骨上部に限定されています。
左膝蓋前滑液包炎が予想されることから,弊所が懇意にしている交通事故後遺障害の専門家に病院同行と後遺障害の立証を依頼しました。
MRI撮影の結果,左膝蓋前滑液包炎の診断が確定,滑液包にたまった水を抜き,非ステロイド性抗炎症薬の注射,膝つきと正座の禁止,2ヶ月のリハビリによる膝関節可動域訓練が指示されました。
1ヶ月のリハビリで腫れは小さくなり,痛みも改善され,2ヶ月で左膝蓋前滑液包炎は治癒しました。
受傷から8ヶ月で症状固定,頚椎捻挫で14級9号が認定されました。
残る傷病名,頚部捻挫と腰部挫傷は,画像診断クリニックでMRIの撮影を受け,医師には頚部のMRI所見の丁寧な記載を依頼して14級9号を実現しました。
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